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油回収装置を選ぶ前に

目次

油回収装置を選ぶ前に事前に準備しておくべきこと

油回収作業は、適切な機器を正しく使用することは勿論ですが、事故対応の為の作戦を事前に考えておくことが重要です。

  • 油流出を早期発見するには…
  • 油の拡散を制限するには…
  • 油の監視や追跡をするには…

これらを考慮して適切な資機材を選定することによって運用費用や訓練費用の低下、メンテナンス費用の低下にも繋がります。

油流出事故に対する戦略の定義化

どのような事故を想定するか

  • 船舶事故
  • 燃料の過補給
  • 陸上への流出、海への流出
  • 石油施設
  • その他

基本的には発生する可能性が高い事故や、最悪の場合に備えて計画を立てます。

どのような油を回収するのか

  • 油の種類、粘度、海への流出6時間後の予想粘度はどれくらいか
  • 想定する流出量はどれくらいか
  • 作業費用を最小限に抑えるための理想的な事故対応時間はどれくらいか
  • 24時間以内にどれほどの油の回収が必要か

資機材到着や流出油の封じ込めまでの時間が長くなればなるほど作業費用は増大します。

流出現場はどのような環境か

  • 潮流や風速、風向
  • ビューフォート風力階級による海の状態の分析 ※波の高さでありません。
  • 海藻、プラスチック、木材などが油に混入しているか

船舶の事故を想定するのであれば船の破片が混入している可能性は高いです。
事故が起こりやすい場所や上記のような環境情報が分かっていれば、それに適した油回収器を選ぶことができます。

ビューフォート風力階級表

風力階級 説明 相当風速
地表物の状態(陸上) m/s
0 静穏。煙はまっすぐに昇る。 0.0-0.2
1 風向きは煙がなびくのでわかるが、風見には感じない。 0.3-1.5
2 顔に風を感じる。木の葉が動く。風見も動きだす。 1.6-3.3
3 木の葉や細かい小枝がたえず動く。軽く旗が開く。 3.4-5.4
4 砂埃がたち、紙片が舞い上がる。小枝が動く。 5.5-7.9
5 葉のある灌木がゆれはじめる。池や沼の水面に波頭がたつ。 8.0-10.7
6 大枝が動く。電線が鳴る。傘はさしにくい。 10.8-13.8
7 樹木全体がゆれる。風に向かっては歩きにくい。 13.9-17.1
8 小枝が折れる。風に向かっては歩けない。 17.2-20.7
9 人家にわずかの損害がおこる。 20.8-24.4
10 陸地の内部ではめずらしい。樹木が根こそぎになる。人家に大損害がおこる。 24.5-28.4
11 めったに起こらない広い範囲の破壊を伴う。 28.5-32.6
12 >32.7
出典:気象庁ホームページ 気象観測ガイドブック
(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/guidebook.pdf)

リスクと優先順位のプロファイリング

海での油濁防除に必要な費用は、ビーチや陸上の岩などに漂着してしまった油回収作業費用に比べて非常に安価です。
国ごとによって異なりますが、海岸線などでの油回収作業費用は海上での作業に比べて単純計算で約50倍も高くなります。
したがって、いかに事前に作戦を立て、海岸線などに油が漂着する前に油を回収できるかが重要になります。

コスト削減のカギ

  • 事故対応までの時間を短縮
  • 適切な資機材の選定
  • 物流

とくに「適切な資機材の選定」は重要であり、 タンクの油貯蔵能力やオイルフェンスの油の封じ込め能力、 スキマーの回収能力が大きく関わっています。

事故対応までの時間を短縮

事故対応までの時間を短縮することによって油濁の拡散を最小限に防ぐことができます。 また、流出源に資機材が早く到着すれば、 流出油のほとんどをオイルフェンスで封じ込めることができ、 フェンス内の狭いエリアだけに集中して回収作業をすることができます。 そうすることによって海上での作業人員や出動する資機材を減らすこともできます。

事故対応までの時間が長くなってしまうと・・・

事故対応までの時間が長くなればなるほど、油の拡散を広い海へ許してしまいます。 より多くの油が広い範囲に広がれば、より多くの人員や資機材が必要になります。 浜辺などに漂着する頃にはかなり広い範囲に油が広がってしまい、 油の除去が難しくなってしまいます。 陸上に漂着し岩などに付いてしまった油の除去が最も大変ですので、 海上での作業よりコストが50倍にもなることが理解頂けると思います。

事故対応時間の短縮のための油回収装置ラインナップ

緊急展張オイルフェンス:ブームバッグ

緊急展張が可能

航行中にシーアンカーを海面に投入するだけで固定式フェンスが展張可能で、 流出油を素早く囲い込むことが可能です。

高速での曳航が可能

15ノットで牽引して油流出現場に急行でき、事故の初期対応に効果的です。

一点充気式オイルフェンス:スピルレーダー

一ヵ所のみに空気を送ることで、オイルフェンス全体を膨らませることができる一点充気式です。 従来は複数箇所に充気する必要がありましたが、一点充気式により素早く展張することができます。

1点のみを充気すれば良いので一人で展張することが可能です。

事故への対応時間を減らすためには事前の準備が必要不可欠

以上のように、いざ事故が発生した際の作業計画を事前に考慮することが、 事故への対応時間を短縮させ、コスト削減にも繋がります。 実際に油回収作業をした経験があるという人の方が一般的に少ないと思います。 いつでもお気軽にお問合せを頂ければ、適切な資機材選定の手助けをさせて頂きます。

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