ワカサギやアユなどの付着沈性卵を集合管理するためのシステムです。卵の特性を活かして筒の中で常に対流させることで、従来方法(シュロ・キンラン等)に比べ省スペース・少水量で卵の管理が可能です。コンパクトでありながら大規模孵化場並みの孵化能力を備えています。
特長
特長1大量の卵を一括管理
孵化筒1本につき、アユでは最大200万粒、ワカサギでは600万粒の収容が可能です(EMS150仕様)。ご希望に応じて本数を増やせます。またΦ200mm、φ300mmといった大型孵化装置への対応も可能です。(収容卵数は直径の2乗に比例します。)
卵ではなく孵化仔魚のみを放流するため、在来魚に卵を食べられるリスクを減らすことができます。
特長2効率的な水棲菌防止措置
従来方法(シュロ、キンラン等)に比べ、水カビ防止剤の使用料を大幅に削減できます。
水10Lあたり、1㏄を1日30分間暴露するだけです。なお、水カビ防止剤は動物性医薬品に相当するため、弊社では販売しておりません。
特長3使用水量の削減
EMS150用孵化筒では、給水量は1本あたり5L/min程度です。小型ポンプで十分使用可能です。
特長4卵や仔魚の観察が容易
装置は陸上に設置します。また孵化筒はアクリル樹脂、または透明塩ビ製です。卵や仔魚の状態が肉眼で観察できるため、状態に合わせて随時適切な対応をとることができます。
導入の際の注意点
①適切な飼育用水の確保が前提となります。
水温
積算温度(1日の平均水温×日数)が180℃程度必要となります。
例)水温12℃ → 孵化まで約2週間
水温 2℃ → 孵化まで約1.5か月
水質
飼育水と湖水(放流先)の温度差は8℃以内としてください。
孵化筒内の水温が短時間で大幅に変化しないようにしてください。
濁り・泥・病原菌等が用水に入らないよう注意してください。必要に応じてろ過器等を設けてください。
水位変動による揚水量の差が生じないようにしてください。卵が流れ出る危険性があります。
井戸水を用水とする場合、溶存酸素量に注意してください。必要に応じて曝気槽等を設けてください。
地下水を用水とする場合、鉄やマンガン等の含有がないか注意してください。必要に応じてろ過機等を設けてください。
②放流場所の選定を行ってください。
餌料生物量
放流後6日以内に仔魚が摂餌できたかどうかが、その後の生残率に大きな影響を及ぼすと言われています。
避けるべき放流場所
湖(放流先)との落差が1m以上ある滝。仔魚が耐えられません。
放流経路途中で取水を行っている場所。放流した仔魚が再度ポンプに吸われてしまいます。
汚水が混入する場所。仔魚が耐えられません。
③装置設置の為に建屋をご用意ください。
屋外設置は不可です。
プレハブ小屋等が必要となります。設置は水平に行ってください。
電圧の安定した電源、給排水設備が必要です。
搬入経路が確保されていることをご確認ください。架台にキャスターは付いていますが、持ち上げるのは容易ではありません。
④作業人員を確保してください。
孵化放流までは最低限以下の作業が毎日必要となります。
- 死卵の除去作業
- 水カビ防止剤による薬浴(発眼以後は不要)
- 水量の微調整
⑤卵を確保してください。
弊社では受精卵・発眼卵の販売は行っておりません。
お客様ご自身で供給元にご連絡ください。
ワカサギの場合、遺伝的系統にも注意が必要です。(異系統の交配は行われません。)
仕様
本体材質
- 架台:鉄製(塗装)
- 孵化筒:透明PVC製、アクリル製(EHS200より大きいものは、孵化筒材質はアクリル製となります。)
モデル
型式 | 孵化筒 | 収容卵数(万粒) | ||
---|---|---|---|---|
寸法 | 満水量(L) | 本数 | ||
EHS100-2M | Φ100mm | 7 | 2 | 250 × 2 |
EHS100-4M | Φ100mm | 7 | 4 | 250 × 4 |
EHS150-2M | Φ150mm | 17 | 2 | 600 × 2 |
EHS150-4M | Φ150mm | 17 | 4 | 600 × 4 |
EHS150-8 | Φ150mm | 17 | 8 | 600 × 8 |
EHS200-2M | Φ200mm | 31 | 2 | 1000 × 2 |
EHS200-4M | Φ200mm | 31 | 4 | 1000 × 4 |
EHS300-2M | Φ300mm | 70 | 2 | 2400 × 2 |
EHS300-4M | Φ300mm | 70 | 4 | 2400 × 4 |
以下はオプションとなります。別途ご相談ください。
- 並列構造
- SUS製架台
- 孵化筒1本仕様
導入事例
河川におけるアユの種苗放流
長良川のアユ種苗放流現場で使用されています。
毎年仔アユの放流作業が行われていましたが、孵化装置の導入による省力化を目指しています。

湖におけるワカサギの種苗放流
関東・東北・北海道ではメジャーなワカサギ釣りですが、最近は関西地方でも人気です。
湖の規模に合わせ、毎年放流作業が行われています。放流後は自然任せのため変動はありますが、多くの湖でワカサギの個体数の増加が報告されています。

資料請求

お問い合わせ
製品の仕様について、価格・お見積り・納期についてのご確認や、導入検討のためのご相談、デモのご依頼など、お気軽にお問合せください。
製品情報
付着沈性卵用ふ化装置
- 付着沈性卵用孵化装置