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なぜ水素環境では通常の圧力センサが使えないのか──ISO11114-2適合の理由と設計の違い

燃料電池車や水素ステーションの普及に伴い、「水素ガスを高圧で正確に測定する」ことが求められる場面が増えています。 しかし、水素は空気の14分の1という軽さを持ち、分子が非常に小さいため、金属やシール材の隙間から容易に浸透してしまいます。 その結果、一般的な圧力センサでは、リーク・脆化・感度劣化などの問題が発生し、長期的な安定運用が困難になる場合があります。

水素特有の課題

水素分子は金属内部に侵入して脆化を引き起こすほか、非金属材のOリングを透過して漏れの原因になります。 さらに、高圧下ではこれらの影響が加速し、センサの内部構造や電気絶縁部に損傷を与えることもあります。 つまり、水素環境では「一般用センサを流用する」という発想自体がリスクになり得るのです。

ESIの設計思想:Oリングレス×チタン構造

ESIの水素対応モデルは、Oリングを使わず金属溶接で一体化したチタンボディを採用。 このOリングレス設計により、シール材の劣化や透過を防ぎ、長期間にわたって高い気密性を保ちます。 また、チタンは水素脆化に強く、耐食性にも優れているため、 充填ステーションや燃料電池車両など、高圧・高頻度サイクルの環境下でも安定して使用できます。

国際規格と信頼性の裏づけ

ESIの水素対応センサは、 ISO11114-2:2017(水素用材料適合) をはじめ、ATEX、IECEx、EC79などの国際認証を取得しています。 これにより、水素供給設備や研究試験装置など、グローバルな安全基準に準拠した設計が可能です。 さらに、Silicon-on-Sapphire素子を採用することで、高温・高圧下でも信号の安定性を維持します。

まとめ:安全・安定・長寿命の3本柱

水素環境下での圧力計測には、「漏れない構造」「脆化しない素材」「安定した信号」という3つの条件が不可欠です。 ESIの水素対応圧力センサは、これらをすべて満たす設計思想のもとで生まれました。 将来的な水素エネルギー事業や試験システムの信頼性向上を目指す方は、ぜひ一度ご相談ください。

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