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ドリフトを抑える「SOS(Silicon-on-Sapphire)構造」──精度と安定性を両立する圧力センサ技術

圧力センサを長期間使用していると、温度変化や経年によって出力が徐々にずれていく──いわゆる“ドリフト”に悩まされた経験はないでしょうか。測定対象が高温流体や油圧系の場合、この影響は無視できず、メンテナンス頻度や校正コストの増大につながります。 ESI Technologyが採用する Silicon-on-Sapphire(シリコン・オン・サファイア)構造 は、この課題を根本から解決するために開発された独自技術です。

温度変化に強い構造

従来のストレインゲージ式センサは、シリコン素子を金属ダイアフラムに接着するため、温度差によって膨張率が異なり、微小な応力が残留してドリフトを引き起こします。 一方、Silicon-on-Sapphire構造では、シリコン層をサファイア基板上にエピタキシャル成長させることで、物理的な接着層を排除。サファイアの高い剛性と熱伝導性により、 −40〜+200℃の広い温度範囲でも出力特性が安定 します。

長期安定性と再現性

サファイアは化学的にも極めて安定しており、酸化や吸湿による経年変化がほとんどありません。そのため、長期使用後もヒステリシスやゼロ点のずれが起こりにくく、繰り返し精度に優れています。 また、センサ内部は完全溶接構造となっており、接着剤やOリングを一切使用しないため、 経年による劣化要因を最小限に抑制 できます。

ノイズ耐性と信号品質

Silicon-on-Sapphire素子は電気的絶縁性にも優れており、外部ノイズや電磁パルスの影響を受けにくい点も特徴です。これにより、制御盤やインバータ近傍など電磁環境の厳しい現場でも安定した信号を維持します。 防衛・航空・エネルギー関連分野で採用されている理由の一つが、この高いノイズ耐性です。

まとめ:精度を「維持する」ための素材選定

Silicon-on-Sapphire構造は、単に高精度を実現するためではなく、 長期間その精度を維持するための技術 です。 計測の安定性を高め、メンテナンスの負荷を軽減したい方は、ESIの圧力センサシリーズをぜひご検討ください。

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