番外編 東京 シーフードショー 2024出展記録
おさかなマイスターの養殖講座(番外編 3)2014年から、コロナ禍を除き毎年出展している「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー(国際養殖技術展)」も、今回で8回目の出展でした。陸上養殖に興味を持たれている方も多く、遠方含め大変多くの方にご来場いただきました。誠にありがとうございました。
我々水産担当者総出で対応いたしましたが、ゆっくりお話しできなかった方、十分にブースをご覧になれなかった方もいらっしゃるかもしれません。そこで、今年の展示内容の全容を簡単にご紹介したいと思います。
今年の展示テーマ
今年は陸上養殖の設備を中心に展示いたしました。 陸上養殖に関し、機器の選定・設計・設置に至るまでのトータルサポートをテーマとしています。 また、我々は完全閉鎖循環については技術的に未だ難しいと考えており、適度に水替えを行う「半閉鎖循環のすゝめ」をサブテーマに掲げ、展示を行いました。
養殖設備模型
養殖設備模型は今回の展示の肝です。
昨今の海の状況や国の方針から、陸上養殖を新規事業として検討されるお客様が増えてきました。
しかし、
「養殖に必要な設備が分からない」
「そもそも何から始めたらよいのか分からない」
そんなお声をしばしばお聞きします。
養殖を始める前に考えてほしいことも沢山ありますが、それは第1回の講座をご参照ください。
事業として行う養殖としては小型の設備になりますが、養殖設備を構成する機器類について説明するため、今年は写真のような模型を製作しました。
部員のひとりが3Dプリンターでひとつずつ自作したもので、6t程度の水槽を並べ、閉鎖循環型の設備の配置を模しています。実際の設備をイメージしていただけたでしょうか?
周囲には関連する商品の詳細資料を展示しました。
● 水槽
● ポンプ
● 物理ろ過・生物ろ過
● 温度調整
● 殺菌
● 環境測定
の6項目に分類し、それぞれを動画や写真を用いて紹介しています。
レイシーのノベルティや、三相電機の新型大容量ポンプの実物展示、YSIの多項目水質計・小型CTDなどの実物も置かせていただきました。
多くの仕入企業様にご協力いただきました。ありがとうございました。
チョウザメ水槽
とはいえ、模型だけでは寂しいので、毎年恒例のチョウザメ水槽も健在です。
今年は全てベステル種(オオチョウザメとコチョウザメのハイブリッド)でした。彼らはたくさんのお客様を連れてきてくれます。
チョウザメはサメの仲間と思われがちですが、全く異なる硬骨魚類です。
淡水飼育で、キャビアを持つ魚として有名ですが、お肉も結構美味しいのですよ。
水槽周りの配管やろ過槽は全て透明です。
水の流れが分かり易いように!と思いましたが、いかがでしたでしょうか。
生物ろ過槽だけでも流動担体、散水ろ床、浸漬式としてウニ殻のろ材を設置しました。
色んなろ過方式があるのです。
設置している機器類は全て小型のものでしたが、観賞魚も養殖も、飼育を構成する機器は基本的に同じです。
実験水槽でも、実証試験水槽でも、本格的な養殖水槽でも、お客様のご要望や設置環境に合わせて、設備のご提案をさせて頂きます。
全国で対応させて頂きますので、HPや営業担当にお気軽にお問合せください。
執筆者
芝原 英行
東京海洋大学院卒。学生時代はウナギの完全養殖の研究に従事。
(株)マツイ入社後、2年目におさかなマイスターを取得。称号の重圧に日々プレッシャーを感じている。
カキ、サバ、ウナギ、マグロ、チョウザメ等、様々な魚介類の養殖設備・実験水槽等に携わり、趣味はダイビング・アクアリウムと魚漬けの日々を送っている。
おさかなマイスターって?
さかなをおいしく、賢く食べるために、さかなの魅力を伝えるために魚介類の旬、栄養、産地、漁法、調理、取扱方法などを学びさかなの魅力や素晴らしさを伝える「さかなの伝道師」です*。
弊社(株式会社マツイ)には「おさかなマイスター」の有資格者が在籍しております。当ページでは有資格者の監修の元、養殖にまつわる専門知識をお伝えしていきます。
*引用:日本おさかなマイスター協会